【エージェントインタビュー】「物件選び」の前に「人選び」を。不動産歴36年のベテランが語る、不動産仲介の真実
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不動産を探すとき、私たちはつい「間取り」や「駅徒歩」といった物件の条件ばかりに目を奪われがちです。しかし、人生最大の買い物をサポートする「エージェント」その人の資質が、その後の満足度を大きく左右することをAgent Connectは提唱しています。
今回お話を伺ったのは、本物を追求する家づくりを企業理念に、そして東京100年住宅を企業VISIONに不動産歴36年のキャリアを持ち、東京都宅建協会の役員も務める及川達也氏です 。
「宅建の資格だけでは、本当のプロとは言えない」 。そう断言する及川氏に、従来の物件中心の業界構造への疑問や、建物知識に基づいたエージェントの在り方、そして新しいプラットフォーム『Agent Connect』に期待する「個人の可視化」について、熱く語っていただきました 。
1. Agent Connectへの期待と第一印象
Q. Agent Connectのプレゼンを聞いて、従来の「物件ありき」の構造と比べ、どんな新しさを感じましたか?
これまでの不動産業界は、どのプラットフォームも「物件」を中心に設計されていました。
ユーザーはまず物件ありきで検索し、エージェントはその物件に付随する存在として位置づけられてきた。でも実際のところ、住まい選びは物件の性能だけで決まるわけではありませんよね。
誰がそこに寄り添い、何を提案し、どんな知識でサポートするかが、最終的な満足度を大きく左右する。Agent Connectはその「誰」の部分——つまりエージェントそのものを前面に出している点が、これまでとはまったく発想が違うと感じました。
Q. ご自身がエージェント登録をされた「決め手」は何でしたか?
率直に言うと、「これは使ってみないとわからない」という好奇心が最初の一歩でした(笑)。25年以上この業界にいると、新しいサービスが登場するたびに「結局は物件データベースの焼き直しだな」と感じることが多かったんです。
でもAgent Connectは、エージェント個人の発信やユーザーからの評価を軸にしている。これは今まで業界になかった仕組みだと思いましたし、自分がこれまで積み上げてきたものを正当に見てもらえる場になるかもしれないという期待もありました。
Q. 東京都宅建協会の役員という立場から見て、「エージェント個人が評価される仕組み」は業界にどんな影響を与えると思いますか?
業界全体にとって、いい意味でのプレッシャーになると思っています。宅建協会でも長年、「業者の質の底上げ」は大きな課題です。資格を取れば誰でも同じスタートラインに立てますが、その後の成長は個人任せで、ユーザー側には見えにくい。
Agent Connectのような仕組みが普及すれば、エージェントが自分の専門性をアウトプットし、それが評価される文化が根づいていく。それは業界の信頼向上にも直結すると思います。怠惰なエージェントが淘汰され、誠実に勉強し続ける人が正当に報われる——そういう健全な競争環境につながることを期待しています。
2. 「宅建士」という資格の限界と建設知識
Q. 実務において「資格の勉強だけでは補えない知識」の重要性を感じるのはどんな場面ですか?
一番痛感するのは、中古物件の売買相談の現場です。宅建の試験勉強では、法律・権利関係・税務が中心で、建物そのものの話はほとんど出てきません。でも実際のお客様が知りたいのは「この建物はあと何年もつのか」「リフォームにどれくらいかかるのか」「耐震は大丈夫か」といったことです。そこで曖昧な回答しかできないエージェントは、正直に言えば「使えない」と思われてしまう。資格はスタートラインであって、ゴールでは決してありません。
Q. 建物の構造・建設知識が欠如していることで、ユーザー側にどんなリスクが生じると思いますか?
最大のリスクは「買ってから気づく」ことです。たとえば、旧耐震基準の建物であることの意味を十分に説明されないまま購入してしまった、雨漏りの痕跡を見落とした、断熱性能が低く光熱費が想定外にかかった——こういったケースは実際に起きています。エージェントが建物知識を持っていれば、内見の時点でそのリスクを指摘し、お客様の判断材料にできる。それができないと、単なる「物件の案内係」で終わってしまいます。不動産は人生最大の買い物であることが多い。そのサポーターとして、建物を「見る目」は絶対に必要だと思っています。
Q. 「本当のプロ」が備えておくべき、資格以外の知識とは?
大きく分けると三つあると考えています。
まず「建物・建設の基礎知識」——構造の種類(木造・RC・鉄骨)、築年数と耐震基準の関係、リフォームの相場感など。
次に「地域の生活環境の知識」——街の歴史、ハザードマップの読み方、学区・商業・交通の変化トレンドなど。
そして「ファイナンスの実務知識」——住宅ローンの種類、金利動向、団信の中身、税優遇の使い方など。これらは宅建試験には出てきませんが、お客様の人生に直結する知識です。私自身、現場で失敗して学んだことが大半ですし、今も勉強し続けています。
3. ノウハウの可視化と「正当な評価」
Q. これまで、自分のノウハウや誠実な仕事ぶりをユーザーに客観的にアピールできる場はありましたか?
正直なところ、ほとんどありませんでした。口コミサイトがないわけではありませんが、不動産の場合は取引が一生に数回しかないため、評価がたまりにくい。結局は「紹介」か「名刺の会社名」で信頼を担保するしかなかった。25年やってきて積み上げたものが、初対面のお客様にはまったく見えない——それはずっともどかしかったですね。
Q. 「個人の細やかな配慮が褒められない」という現状に、寂しさや課題を感じたことは?
あります、非常に。たとえば、成約後にお客様から「引越し前のご近所への挨拶の仕方まで教えてもらえて助かりました」と言っていただいても、それは社内の評価には何も関係ない。「何件売ったか」「いくらの物件か」が評価のすべて。誠実さや知識の深さが数字にならない業界構造は、長く現場にいるほど虚しさを感じます。優秀なエージェントほど早く辞めていく一因でもあると思っています。
Q. Agent Connectのような「個人の実力の可視化」は、どんなメリットになると期待していますか?
自分の言葉で発信し、それがユーザーに届き、評価として積み重なっていく——その仕組みが整うことで、「信頼の資産」が形成できると思っています。会社名ではなく、及川達也個人を信頼してくれるお客様とつながれる。これは今の私にとって非常に大きい。また、記事や情報発信を続けることで、勉強し続けるモチベーションにもなります。「見られている」という緊張感が、プロとしての成長を後押ししてくれる側面もある。
Q. 最後に、Agent Connectを通じてどんなユーザーと、どんな「つながり」を築いていきたいですか?
「どの物件を買えばいいか」ではなく、「この先の人生をどう設計するか」という視点で相談してくださる方とつながりたいです。城北・城東エリアで25年やってきて、街の変化もお客様の暮らしの変化も間近で見てきた。そういう蓄積が、物件探しだけでなく、住み替えのタイミングや将来の資産形成についてのご相談にも活かせると思っています。「また及川さんに相談したい」「友人にも紹介したい」と思ってもらえるような、長期的な信頼関係を大切にしていきたいですね。
「信頼の資産」を積み上げ、一生涯のパートナーへ
インタビューの中で及川氏が繰り返したのは、数字や効率だけでは測れない「誠実な仕事」への自負でした 。成約件数という目に見える結果だけでなく、近隣挨拶のアドバイスや建物の構造への深い洞察といった、これまで光が当たりにくかった細やかな配慮こそが、ユーザーの安心を支えています 。
「どの物件を買うかではなく、この先の人生をどう設計するか」 。
及川氏のような深い専門性と情熱を持つエージェントが、その実力を正当に評価され、ユーザーと深くつながっていく。そんな健全な不動産業界の未来が、Agent Connectという場を通じて始まろうとしています 。
もしあなたが、単なる「物件の案内係」ではなく、建物の本質を見抜き、人生の歩みに寄り添ってくれるパートナーを探しているのなら、及川氏の言葉の中にその答えが見つかるはずです 。
及川達也氏プロフィール

セイズ株式会社代表取締役。
2001年に創業し、「デザインと住宅性能の両立」を掲げた家づくりを追求。
不動産歴36年。(2026年現在)宅地建物取引士として、東京都宅建協会の役員も務める。
JPSA認定プロスピーカーとしても活動し、エージェント個人の専門性や誠実さが正当に評価される業界環境の構築に尽力している。


