【社長コラム Vol. 3】資格だけでは足りない――私が考える良いエージェントの条件
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Agent Connect株式会社 代表取締役 冨谷皐介
3月、4月のコラムでは、私が巻き込まれた「かぼちゃの馬車事件」の原体験や、不動産業界に蔓延する「情報の非対称性」といった構造的な問題についてお話ししてきました。 では、その構造的欠陥から身を守るために、私たちはどうすればいいのか?
答えは「物件ではなく人で選ぶ」ことです。今月のコラムでは、私の経験を踏まえ、「誰を信頼すべきか」を判断するための、私が考える良いエージェントの定義と見極め方についてお伝えしたいと思います。

■なぜ「人」で選ぶことが重要なのか
不動産は、私たちの人生において最も高額で、かつ個別性の高い買い物です。同じ物件は二つとして存在せず、目に見えないリスクが多数潜んでいます。私は、不動産取引の成否の大部分は、担当するエージェントの資質で決まると確信しています。 私自身、2億円の被害に遭った際、利回りという「数字」やシェアハウスという「箱」ばかりを見てしまっていました。今振り返ると、利回りや物件そのものに目が向き、担当者の資質を見極める視点を持てていなかったことも、大きな要因の一つだったと感じています。 だからこそ、取引の入り口は絶対に「人」でなければならないのです。
■資格は必要条件に過ぎない
不動産関連の資格は100以上も存在すると言われています。名刺に数々の資格が並んでいると、「プロだから間違いない」と全面的に信頼してしまう人も多いのではないでしょうか?しかし、かぼちゃの馬車事件において、不正な書類改ざんや法外なキックバックを主導し、不適切な融資を通していたのは、紛れもなく資格を持った「プロ」たちでした。 銀行員や専門家が関与しているという『社会的に構築された信頼の枠組み』に自らの思考を預けてしまうことほど、危険なことはありません。私は身をもって実感しました。資格は重要な知識や基礎能力を示すものですが、それだけで人柄や姿勢まで測れるわけではありません。その人の「誠実さ」を保証するものではないと肝に銘じるべきです。
■良いエージェントは「売る人」ではない
では、良いエージェントとはどのような存在でしょうか?私は、単なる「売る人(セールスマン)」ではないと考えています。自社の利益やノルマのために、顧客に物件を押し付ける人は論外です。本当に優秀なエージェントは、自分の正解を押し付けるのではなく、顧客が正しい決断を下せるように「判断材料を客観的に整理してくれる第三者」として機能するはずです。私は、良いエージェントとは、うまく売る人ではなく、時には『今はやめた方が良い』と言える人だと考えています。
不動産エージェントとは何か、改めて詳細を解説したコラムもぜひご覧くださいませ。→こちら
■顧客の将来を基準に判断できるか
私自身や、多くの被害者の方々を見てきた中で感じるのは、信頼できるエージェントに出会えた人ほど、その後の人生設計まで大きく変わっているということです。私と同じく事件の被害に遭ったAさんは、その後、心から信頼できる素晴らしいエージェントに出会いました。その担当者は、目先の利回りや条件だけでなく、Aさんの数年後、あるいは老後といった「長期的な生活設計」まで含めた提案をしてくれたそうです。 まさに人生の伴走者です。良いエージェントは、「今この物件を買うべきか」ではなく、「この顧客の将来にとって、この選択は最適か」という基準で物事を判断してくれます。
■リスクを正直に伝えられるか
どんなに素晴らしい物件にも、必ずデメリットやリスクが存在することを忘れてはいけません。Aさんの担当者は、検討している不動産のメリットだけでなく、デメリットもしっかりと整理し、ポートフォリオにまとめて分かりやすく説明してくれたといいます。 都合の悪い情報を隠すのではなく、「この物件にはこういうリスクがあるから、あなたにはお勧めしません」と、時には取引を止める勇気を持った人こそ、真に信頼できるエージェントと言えます。
■契約を急がせない姿勢
現在の「物件起点」の不動産サイトでは、エージェントは常に他社との競争に晒されています。そのため、「早くしないと他の人に取られますよ」と契約を急がせる営業が横行しています。このような過度な焦燥感を与える営業手法は、顧客の納得感ある意思決定を難しくする可能性があります。
しかし、一生を左右する決断を急かす担当者は、顧客の人生よりも自分の成績を優先している証拠です。顧客の納得がいくまで、決して焦らせない姿勢が必要です。
■トラブル時に逃げない責任感
不動産は買って終わりではありません。むしろ、購入後からが本当のスタートです。入居者が退去した、修繕が必要になった、ライフスタイルが変わって売却したくなった。そうした将来のトラブルや変化が起きた際にも、逃げずに連絡が取れ親身になって相談に乗ってくれる責任感があるかどうか。これが長期的な安心感につながります。
■「伴走者」としての資質
これらの条件を満たすエージェントは、もはや単なる仲介業者ではなく、人生の「伴走者(パートナー)」です。前述のAさんは、その信頼できる担当者と、保有物件の整理や新規購入を含めて5件もの取引を行っています。信頼で結ばれた関係性は、一生涯続く財産となるのです。
■良いエージェントを見極める5つの視点

では、具体的にどうやってその資質を見抜けばよいのでしょうか?
私は以下の5つの視点をお勧めします。
1.主語が「物件」か「あなた」か:希望条件だけでなく、なぜ買いたいのか、将来どうなりたいのかという「ライフプラン」を深掘りして聞いてくれるか。
2.ネガティブ情報の開示:こちらが聞かなくても、物件のデメリットや将来の修繕リスクなどを自ら積極的に提示してくれるか。
3.「待つ」ことができるか:「今日決めてください」と決断を急かす言葉を使わず、持ち帰って冷静に考える時間を尊重してくれるか。
4.過去の顧客からの評価:これまで取引をした第三者から、どのような評価を受けているか。透明な実績があるか。
5.日々の言葉や行動から見える人間性:その人が普段どのような考えを持ち、どんな専門知識を発信しているか。
■誠実な人が報われる市場へ
私がAgent Connectを立ち上げた最大の理由は、こうした「本物のエージェント」が正当に評価される仕組みを作りたかったからです。 従来の仕組みでは、強引な営業や情報を隠す担当者が一時的に利益を上げる「負のスパイラル」が存在していました。しかし、エージェントの知識、人柄、そしてユーザーからの評価を可視化することで、消費者は最初から信頼できる「伴走者」を逆指名できるようになります。
不動産は「人」で選ぶ。
『物件ではなく、人で選ぶ』という当たり前が広がることで、誠実なエージェントが正当に評価され、消費者が安心して意思決定できる市場を実現していきたいと考えています。
皆様もぜひ、ご自身の目で「誰を信頼すべきか」を見極め、素晴らしいパートナーと出会ってください。

<代表プロフィール>
名前:冨谷 皐介(とみたに こうすけ)
生年月日:1969年8月10日
出身地:北海道小樽市
趣味:バイク、映画鑑賞
休日の過ごし方:読書、YouTubeでプロレス鑑賞
過去に経験したスポーツ:スキー、水泳、マウンテンバイク、ゴルフ
座右の銘:知行合一、至誠而不動者 未之有也


