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【社長コラム Vol. 1】創業の原体験「かぼちゃの馬車事件」から学んだことなぜ私は「不動産会社」ではなく「エージェント比較サイト」をつくったのか

  • 11 分前
  • 読了時間: 8分

Agent Connect株式会社 代表取締役 冨谷皐介


はじめに

不動産取引の新しい形を実現したい


「不動産取引の新しい形を実現する。」

これが、私たちAgent Connectが掲げているミッションです。

ただ、これは単なる耳障りの良い言葉でも、流行のDXを取り入れたサービスを意味するものでもありません。

私にとってこの言葉は、自分自身が深い苦しみの中に置かれ、そこから何とか立ち上がろうとした過程で得た、痛みと教訓から生まれた答えです。

言い換えれば、人生を賭けてでも実現したいテーマです。

2018年に大きく報じられた「かぼちゃの馬車事件」をご記憶の方も多いかもしれません。女性専用シェアハウス投資をめぐり、多くの人が深刻な被害を受けた事件です。

実は、私自身もその被害者の一人でした。


このコラムでは、Agent Connect創業の原点となった私自身の体験と、そこからなぜ「二度と同じ悲劇を繰り返さないための仕組み」が必要だと考えるに至ったのかを、お話ししたいと思います。


「将来の安心」が、一転して重荷になった


私が不動産投資を始めたきっかけは、特別なものではありませんでした。

多くの会社員の方と同じように、「少しでも将来の足しになれば」という思いからです。


当時、私は大手電機メーカーに勤める会社員でした。

年収は1000万円を超え、妻と二人の娘と暮らし、表面上は順調な生活を送っていました。

それでも、老後資金や子どもの教育費に対する漠然とした不安は、常にどこかにありました。これは決して珍しい感覚ではなく、多くの方に共通するものだと思います。


そんなとき、信頼していた同僚から紹介されたのがシェアハウス投資でした。

「家賃保証30年」「利回り8%超」。そして何より、「銀行が融資をするのだから安心だ」という言葉が、私の判断に大きな影響を与えました。


一会社員に対して約2億円もの融資がつく。

正直に言えば驚きはありました。

しかし同時に、「多くの専門家が関わり、金融機関が審査を通しているのだから、大きな問題はないのだろう」と受け止めてしまったのです。そうして2016年12月、私は契約書に判を押しました。


ですが、その「安心」は現実のものではありませんでした。


2018年、運営会社スマートデイズの破綻によって、すべてが一気に崩れ始めました。


後になって見えてきたのは、私たちが購入していた物件には、実勢価格から大きく乖離した価格設定がなされていたこと、さらに融資を通す過程で、預金通帳残高などの公的書類に改ざんが行われていたという事実でした。

本来、顧客を守る側であるはずの立場の人々まで含めて、不適切な構造の中で取引が進められていたのです。

手元に残ったのは、入居の見込めないシェアハウスと、毎月80万円の返済義務、そして約2億円の借金でした。

「自己破産」「離婚」「一家離散」

そうした言葉が、現実味を持って頭をよぎりました。


大晦日、紅白歌合戦を眺めながら、私は本気で死を考えました。

自分がいなくなれば団体信用生命保険でローンは消え、家族に資産を残せるのではないか。

「家族を守るために、自分が消えるしかないのではないか」とまで思い詰めていたのです。


絶望の中で、被害者同盟を立ち上げた理由


私が踏みとどまれたのは、直前にいとこを労災事故で亡くし、残された家族の悲しみを目の当たりにしていたからでした。

「あの悲しみを、自分の家族にも背負わせてはいけない」

そう思い直した瞬間、絶望は怒りへと変わりました。


「このまま泣き寝入りしたくない」

「一度死を覚悟したのなら、やれることは全部やろう」


その思いから、私は同じ境遇に置かれた被害者たちに呼びかけ、「スルガ銀行スマートデイズ被害者同盟(SS被害者同盟)」を結成し、代表として活動を始めました。


当初は、「巨大銀行に勝てるはずがない」「投資は自己責任だ」といった冷ややかな声もありました。

それでも、私たちは諦めませんでした。

河合弘之弁護士をはじめとする弁護団の力を借りながら、銀行の責任と取引の実態を問い続けました。


そして2020年3月、土地と建物を銀行に物納することで借金を帳消しにするという、異例の解決にたどり着きました。

これにより、多くの被害者が累計1570億円規模の過大な債務負担から解放される道が開かれました。


私はこの経験を通じて、被害が起きた後でも声を上げ、団結し、社会に問い続ければ、状況を動かすことはできるのだと学びました。

しかし同時に、もっと根本的な問いにも直面しました。


「そもそも、なぜこんな悲劇が起きたのか」という問いです。


「火消し」だけでは、悲劇は終わらない


その後、私は一般社団法人ReBORNsを立ち上げ、被害者救済に取り組みました。

しかし活動を続ける中で、一つの限界を痛感しました。


それは、被害が起きた後の救済、いわば「火消し」だけでは、新たな被害者は生まれ続けるということです。


実際、被害に遭った方の中には、その後さらに「被害回復コンサルティング」などと称する別の被害に巻き込まれる方もいました。

一度傷ついた人が、二度、三度と搾取されてしまう。

この現実を前にして、私は強く思いました。


必要なのは、火が出た後に必死で消すことだけではない。

そもそも火事を起こさせないための「火の用心」の仕組み、すなわち予防の仕組みだ、と。


私たちはなぜ騙されたのか。

なぜ、こんなにも重大な判断を誤ってしまったのか。


振り返ってみると、私たちは利回りや家賃保証といった“数字”や、シェアハウスという“物件そのもの”ばかりを見ていました。

一方で、それを勧めてくる営業担当者がどのような人物なのか、融資に関わる人が本当に誠実なのか、そこを見極める手段を持っていませんでした。


不動産取引において、取引の質を大きく左右するのは担当する営業、つまりエージェントです。

私は今では、その成否の大部分は担当者の資質にかかっていると考えています。


にもかかわらず、現在の不動産ポータルの多くは「物件検索」を起点に設計されています。

消費者は物件情報を見て問い合わせをし、その先で初めて担当者と出会う。

一生に一度とも言える大きな買い物なのに、その担当者がどんな資格を持ち、どんな得意分野があり、どう評価されているのかを、事前にほとんど知ることができません。


この順序のままでは、営業担当者にとってのゴールは「売ること」になりやすい。

その結果、情報の非対称性が悪用されたり、顧客の利益より自社の利益が優先されたりする「負のスパイラル」が生まれます。


かぼちゃの馬車事件は、その歪みが極端な形で表面化した事例だったと私は考えています。


もし当時、営業担当者の評判や専門性、提案の妥当性を客観的に見極められる仕組みがあったなら。

もし、利害関係の薄い信頼できるエージェントにセカンドオピニオンを求められる環境があったなら。

あの地獄を回避できた人は、決して少なくなかったはずです。


「物件」ではなく「人」で選ぶという発想

ユーザから選ばれたベストエージェントを表彰した「Agent Connect Award」の様子
ユーザから選ばれたベストエージェントを表彰した「Agent Connect Award」の様子

「二度と同じ悲劇を繰り返させてはいけない」

その思いが、安定した大企業でのキャリアを手放し、Agent Connect株式会社を立ち上げる原動力となりました。

私が目指したのは、従来の「物件検索」中心の不動産取引から脱却し、「エージェント検索」から始まる新しいスタンダードをつくることです。




Agent Connectでは、不動産エージェントの知識、人柄、専門性、評価を可視化していきます。


たとえば、

保有資格や得意分野を公開する

利用者が過去の取引に基づいて評価できる

エージェント自身の発信を通じて、人柄や考え方を知ることができる

必要に応じてセカンドオピニオンを得られる


こうした仕組みを通じて、ユーザーが「この物件が欲しい」から入るのではなく、

「この人に相談したい」から始められる世界をつくりたいのです。


信頼できるパートナーを見つけてから物件を探す。

この順序に変わるだけで、不動産取引の安全性と納得感は大きく変わります。


看板や会社の規模ではなく、「誰が担当するのか」で選ぶ。

それは、消費者自身を守る最大の防御策であると同時に、誠実なエージェントが正当に評価される市場をつくることにもつながります。


おわりに

不動産取引の未来を変えるために


かぼちゃの馬車事件は、私にとって今でも決して軽く語れる出来事ではありません。

ですが、その経験があったからこそ、不動産業界が抱える本質的な課題に気づくことができました。


不動産は、単なる箱や土地ではありません。

そこに住む人の生活であり、投資する人の未来であり、時には家族の人生そのものです。

だからこそ、それを扱う「人」が何より重要であり、信頼でつながる関係性が不可欠なのです。


Agent Connectは、リリースから2周年を迎えました。

私たちはこれからも、ユーザーと不動産エージェントを「負のスパイラル」から解き放ち、安心・安全な取引を支えるインフラとして進化を続けていきます。


私自身、これまでの人生で、お金は目的ではなく結果だと学びました。

本当に大事なのは、どんな価値を社会に残せるかです。


もう二度と、私のような被害者を出さないために。

「物件から人へ」という変革を、ここから広げていきたいと思います。


皆様の不動産取引が、より良い未来への第一歩となることを、心から願っています。


Agent Connectサービスサイト:https://agent-connect.online/agent_home?menu=home




<代表プロフィール>

名前:冨谷 皐介(とみたに こうすけ)

生年月日:1969年8月10日

出身地:北海道小樽市

趣味:バイク、映画鑑賞

休日の過ごし方:読書、YouTubeでプロレス鑑賞

過去に経験したスポーツ:スキー、水泳、マウンテンバイク、ゴルフ

座右の銘:知行合一、至誠而不動者 未之有也

         

      AgentConnect株式会社 代表取締役社長 冨谷皐介                                     


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