【社長コラム Vol. 8】不動産取引はこれからどう変わるべきか
〜AI時代の「人」の価値、透明な評価、そしてAgent Connectが創る未来構想〜
Agent Connect株式会社 代表取締役 冨谷皐介
はじめに:時代の転換期に立つ不動産業界
皆様、こんにちは。Agent Connect代表の冨谷です。
3月からスタートしたこの社長コラムも、今回で8回目を迎えました。 私自身が約2億円の被害を受けた「かぼちゃの馬車事件」という絶望の原体験から始まり、情報の非対称性が生む「負のスパイラル」、良いエージェントの条件や実践的な選び方、投資家としての判断基準、金融機関も含めた社会構造、そして現場で働く営業マンの評価軸に至るまで、多様な角度から不動産業界の課題と向き合ってきました。

これまでお伝えしてきたのは、単なる業界批判や自衛のテクニックではありません。私たちが直面している不動産取引のあり方を、根本から変えていかなければならないという切実な問題意識です。
今、世の中はAIをはじめとするテクノロジーの進化によって、激しい変化の波の中にあります。不動産業界も例外ではありません。 では、これからの時代、不動産取引はどのように変わるべきなのでしょうか。これまでの連載でお伝えしてきた問題意識を踏まえ、今回は、私たちが目指すべき「不動産取引の未来像」と、Agent Connectが描く「未来構想」について、ビジョンをお話しさせていただきます。
変化の波①:「エージェント評価」が可視化され、信頼が循環する世界
これから起こるべき第一の変革は、「エージェントの評価が可視化され、消費者が自分に合った担当者を選ぶための判断材料を得られる社会の実現」です。
私たちが日常でレストランやホテルを探すとき、あるいは医療機関を選ぶとき、事前に口コミや実績、専門性を調べることは今や当たり前になっています。しかし、人生で最も高額な買い物であるはずの不動産においては、長らく「行ってみるまでどんな担当者に当たるかわからない」という「担当者ガチャ」が放置されてきました。
この時代遅れの構造は、終焉を迎えなければなりません。
これからの不動産取引では、エージェントの保有資格や得意分野といった「専門性」、これまでの取引実績、そして実際の利用者による「多角的な評価やレビュー」がオープンに可視化されます。 単なる売上数字や強引な営業力ではなく、「どれだけ顧客の人生に誠実に寄り添ってきたか」という信頼の積み重ねがそのままエージェントの価値となる。透明な評価軸が存在することで、誠実なプロフェッショナルが正当に報われ、消費者が安心して意思決定できる市場が確立されます。
変化の波②:「セカンドオピニオン文化」が当たり前のマナーになる
第二の変革は、「不動産取引におけるセカンドオピニオン文化の定着」です。
医療の世界では、重大な病気の治療方針を決める際、主治医以外の専門家に意見を求めるセカンドオピニオンが常識となっています。一生を左右する不動産購入においても、一社の営業マンや一人の担当者の言葉だけを鵜呑みにして数千万円、数億円の契約を結ぶリスクは、あまりにも大きすぎます。
私自身が騙された際も、また多くの被害者の方々も、特定の関係者だけが提供する情報に囲まれ、客観的なリスク評価が麻痺してしまう「情報の孤立状態」に陥っていました。
これからの時代は、提案された物件やローン計画に対して、利害関係のない第三者のプロフェッショナルにセカンドオピニオンを求めることが「当たり前の嗜み(マナー)」になっていきます。
利害関係のない第三者の視点を取り入れることで、情報の偏りを減らし、一人では気づきにくいリスクを多角的に検討できるようになります。消費者が十分な判断材料を持ち、納得して意思決定できる環境を整えることが重要です。それが、悲劇を二度と繰り返さないための不可欠な社会インフラとなります。
変化の波③:AI時代だからこそ際立つ「人間の価値」
そして今、最も注目されているのが「AIと人の役割分担」です。
「AIが発達すれば、不動産営業マンは不要になるのではないか」という議論を耳にすることがあります。確かに、物件データの自動マッチング、価格相場の高精度な査定、書類の自動作成や契約内容の一次チェックといった作業は、AIが圧倒的なスピードと正確さでこなすようになるでしょう。効率化できる業務は、どんどんAIに委ねるべきです。
しかし、だからこそ「人間にしかできない価値」が、これまで以上に鮮明になります。
不動産は、単なる条件の検索ではありません。その背後には、「子供が生まれたから広い家に住みたい」「老後の不安を解消したい」「家族との時間を大切にしたい」という、一人ひとりの深い感情、人生のストーリー、そして言葉にならない不安が存在します。
顧客の人生の背景を深く汲み取り、対話を通じて本当の希望を引き出すこと。 不確定な未来に対して、リスクも踏まえた上で人間味のある助言を行い、決断の背中を温かく押すこと。 万が一のトラブルの際にも逃げず、人として誠実に向き合い続けること。
AIがどれほど進化しても、顧客の人生に関わる判断に責任を持ち、信頼関係を築きながら伴走することは、人間のエージェントに求められる重要な役割であり続けると私は考えています。
AIを優秀な道具として使いこなすことで、エージェントは雑務から解放され、より深く「お客様という人間」に向き合えるようになる。AI時代だからこそ、本物のエージェントの「人間力」と「誠実さ」が最大の価値を持つ時代がやってくるのです。
Agent Connectの未来構想:新しい不動産エコシステムの創出
これらの変革を集約し、社会に実装することこそが、Agent Connectの目指す未来構想です。
私たちが創り出したいのは、従来の「物件を売るためのポータルサイト」ではありません。 「信頼できるエージェント(人)を起点とし、誰もが安心して人生の大きな選択を行える、新しい不動産エコシステム」です。
『物件起点』の取引に、『人起点』という新しい選択肢を
消費者が物件検索に追われるのではなく、自らの価値観やライフプランに合った信頼できるエージェントを直接「逆指名」できる世界を作ります。
誠実さが報われる評価インフラの確立 資格、専門性、実績、そして実際の利用者の声に基づいた「複合的な信頼指標」によって、真面目に顧客に向き合うエージェントが正当に評価され、ファンを増やしていけるプラットフォームを育てます。
セカンドオピニオンが根付く安心の場 一社だけの提案に頼らず、第三者の視点でチェックを受けられるセカンドオピニオンを利用しやすい環境を整え、消費者が第三者の視点から提案内容やリスクを確認できる機会を広げていきます。
このプラットフォームを通じて、消費者は搾取の恐怖から解放され、エージェントは自らの仕事に誇りと情熱を取り戻す。両者が対立するのではなく、信頼で結ばれる「正のスパイラル」を社会の隅々まで広げていくことが、私たちの果たすべき使命です。
おわりに:新しい不動産の歴史を、皆様と共に
2018年、かぼちゃの馬車事件で絶望の淵に立たされたあの日、私は「なぜこんな業界が存在するのか」と激しい怒りと不条理を感じました。しかし、地獄のような闘いを経て、多くの人々の善意や誠実なプロフェッショナルたちと出会う中で、私の中に芽生えたのは、「この業界の未来は、自分たちの手で変えられる」という強い確信でした。
誠実な人がいるだけでは、業界は変わりません。その誠実さが正当に評価され、消費者から選ばれる仕組みがあってこそ、市場は変わっていくのだと考えています。
『物件から人へ』。
AIをはじめとするテクノロジーの力を活用しながら、人の専門性と良心が正当に評価される不動産市場を実現する。その挑戦を、私たちAgent Connectはこれからも続けてまいります。

<代表プロフィール>
名前:冨谷 皐介(とみたに こうすけ)
生年月日:1969年8月10日
出身地:北海道小樽市
趣味:バイク、映画鑑賞
休日の過ごし方:読書、YouTubeでプロレス鑑賞
過去に経験したスポーツ:スキー、水泳、マウンテンバイク
座右の銘:知行合一、至誠而不動者 未之有也


